ある29歳の会社員から見た世の中の気になる記事

〜ニュースアプリな情報が交錯しすぎて良くわかないので、自分の中で整理〜

【グーグルでの働き方】シュミット会長語る

 
自分の時間に投資できる環境を整え、そのベクトルに合うメンバーを雇用。
やりたいと思ってもなかなかできない。さすがグーグル。
 
 

グーグル会長のシュミット氏は、モバイルとソーシャルメディアへの移行にもっと早くから取り組むべきだったと話す Getty Images

 グーグルの会長で前最高経営責任者(CEO)のエリック・シュミット氏と同社の元製品部門副社長のジョナサン・ローゼンバーグ氏は、新著『How Google Works―私たちの働き方とマネジメント』で、同社が全従業員をどのように導くかを説明し、ハイテク業界で最も珍重されている資源、エンジニアととびきり優秀で独創的な人材「スマート・クリエイティブ」の活用の手引きとして、自分たちの経験を明かしている。

 

 

 両氏がグーグルで働き始めたのは10年以上も前のことである。当時はまだ規模が小さかったが、現在の従業員数は約5万人となっている。

 最近行われた本紙At Work欄のインタビューで、2人の共同著者は自分たちの経営戦略、就職面接で最もよく聞く質問、そしてブラックベリーがどのようにして同社の歴史でも最も意見の割れる議論の火種になったかを話してくれた。以下はその抜粋である。

 

――あなたがマネジャーとして犯した最大の失敗は何か

シュミット氏:もしやり直すことができるなら、モバイルへの移行とソーシャルメディアへの移行にもっと早くから取り組んだだろう。そういう時代が来ることは分かっていたが、新著でわれわれが説明しているようなプロセスを私は実行しなかった。その本の中でわれわれは、戦略課題には5年計画が必要であり、自分の戦略に非常に厳しくあるべきだと述べている。現在の自分たちの立ち位置、5年後にいる場所、その間に起きなければいけないことを明確にする必要がある。

 他の分野では、われわれはこれを見事に実行したが、先に挙げた2つの分野で反応が遅れたことは自分の責任だと思っている。グーグルは今になってようやくそこに到達したと思う。

――組織レベルで、グーグルが犯した最大の失敗は何か

シュミット氏:グーグルは組織的な失敗を犯さないと思うので、その質問には答えようがない。グーグルが失敗を犯すとすれば、それは戦略的な分野でのことだろう。組織は非常にうまく機能している。

――グーグルの共同創業者でCEOのラリー・ペイジ氏が同社の製品ラインにより密接に関わるためもあってグーグル2.0と呼ばれるプログラムを発足させたと報じられている。上級幹部はどうすれば細かい口出しをせずに、製品決定を掌握し続けられるのか

シュミット氏:グーグル2.0のような噂については話したくないので、新著の内容に沿った形でその質問に答えよう。生産組織であれば、事業を運営している人々が製品決定に深くかかわらなければならないのは明白だ。素晴らしい製品を作ることよりも大事なことなどないのだから。製品の細部にまで深くかかわった創業者や技術者の顕著な例としては、アップルのスティーブ・ジョブズ氏、テスラ・モーターズイーロン・マスク氏、オラクルのラリー・エリソン氏、マイクロソフトビル・ゲイツ氏、フェイスブックマーク・ザッカーバーグ氏などがおり、それがこうした企業の大成功の原動力となってきた。それによってすべて過程が速く進む。ハイテク企業の成功モデルであることは間違いない。急激に成長する組織には製品決定に深くかかわるカリスマ的リーダーがいる。委員会で決定されるわけではないのだ。

――グーグルは検索や広告以外の多くの分野に事業を拡張している。同社は今もあなたが本で紹介した主力製品70%、新興製品20%、夢を追い求めるいちかばちかの製品10%という戦略を実践しているのか

シュミット氏:われわれは確かに70/20/10戦略を実践している。グーグルの仕事はより良い世界を作ることだと言ってきた。もはや単なるインターネット検索企業ではない。実際に、自分たちの技術を活用し、人を雇い、物事を改善できるのであれば、ラリー(・ページ)や共同創業者のサーゲイ(・ブリン)が言うように、さらなる高みを目指すべきなのだ。彼らは本気でそれを信じている。今日のグーグルに見られるのは、輸送、医療、物事の理解など、非常に広範な分野で実現された共同創業者たちの夢であり、そこには物事を改善するという変わらぬ使命がある。私はこれを非常に誇りに思っている。私にとっても、それに関わっているすべての人々にとってもすごく励みになることだ。率直に言うと、私が仕事に来る理由にもなっている。

――あなた方が就職面接で最もよく聞く質問は何か

 

ローゼンバーグ氏:いちばんよく聞くのは「何に驚いたか」だ。「過去10年間のテクノロジー分野で何に驚いたか」といった具体的な質問をする。理由は、その答えで応募者の考え方が分かるからだ。何に驚いたかを正しく答えるには「これがAとBに対する私の解決法です。これが驚きで、その後私はこのように考え方を変えました」と言わなければならない。

 

 製品マネジャーに対する別な聞き方としては、「製品の開発中に何に驚いたか、そしてその製品に採用されなかった機能は何か」というのもある。この聞き方をすると、その応募者が本当にその製品の開発責任者だったのか、誰かの功績を自分の手柄にしようとしているだけなのかが見極められる。後者だとしたら、開発の過程で経験したはずの試行錯誤を説明できないからだ。

 

シュミット氏:私が好んで聞くのは「あなたが夢中になっている何か新しいことについて聞かせてほしい」という質問だ。私はこれで応募者の洞察、情熱、献身を判断する。応募者は何かに夢中になっていなければならない。それが現在の仕事じゃないとしても構わない。この質問をすることで、その人が何に人生を費やしたいのか、何を優先するのかを感じ取ることができる。スマート・クリエイティブを選び出すのにはとても有効な質問だ。

 

 グーグルでは面接のチャンスが5回しかないので、応募者には自分が独創的な考えの持ち主で、前職で身に付けた宣伝文句を繰り返しているだけではないということを明確にする何かが必要だ。

 

――本の中で、あなたは会議への端末持ち込み禁止ルールを導入しようとして失敗したと述べている。会議にスマートフォンを持ち込むことをどう思っているのか

 

シュミット氏:それはグーグル史上、最も激しい論争を巻き起こした決定だった。議論の的がそうした内容である限り、わが社は安泰だと言えるだろう。端末を持参しているかどうかといったことで議論する余裕があるということは、会社の状況も悪くないということだ。

 

ローゼンバーグ氏:エリックが議論で優勢に立ち、会議に端末を持ち込めない時期もあったが、もう1人の幹部と私は、ブラックベリーを見ることなく、テーブルの下でメールを送り合う術を習得した。

 

シュミット氏:人々はそうした状況で必死になる。現代の経営における最大の課題の1つだろう。