ある29歳の会社員から見た世の中の気になる記事

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【本田と監督の信頼関係】「点取り屋として覚醒、二桁ゴールを挙げる」。開幕2戦連発の本田、インザーギ監督の戦術によってゴールセンス磨かれる

 

本田とインザーギ監督間にある信頼関係を築くことができたことが

最大のポイントだった。

 

周囲とのコンビプレーによってフィニッシュに絡む

「私は前半、美しいコンビプレーとファンタスティックなゴールを見た」

 14日のパルマ戦後、インザーギ監督は記者会計の場でこういって喜んでいた。後半のカオスな展開から、泥試合ここに極まれりという印象ばかりが強く残っているが、指揮官は前半のパフォーマンスを根拠にチームを褒めていた。

 そして前半決まったうちの2ゴールに、本田が絡んでいる。DFにチャージを受けながら出したボナベントゥーラへのアシストに、アバーテのクロスに飛び込んだヘディングシュート。批判を浴びせていたことなどどこ吹く風、ある地元記者は「本田は点取り屋として覚醒し、今季は二桁ゴールを挙げるだろう」などと吹聴していた。

 ただ、この記者の言い分には統計上の根拠がある。本田のゴールは開幕2戦連発、夏の練習試合からカウントすれば5試合連続だ。かりにこのペースを維持出来れば、あと8ゴールなど早々に達成出来る。そう考えれば、二桁ゴールはたしかに十分現実的な数字ではある。

 さらにプレーを振り返れば、本田を取るべくして点を取っていることが分かる。直接FKを決めたバレンシア戦を除けば、ここまでのゴールは全て流れの中から。周囲とコンビプレーを形成した末に、エリア内へ飛び出してフィニッシュへと絡む形が身になりつつある。パルマ戦の1ゴール1アシストは、まさにその中で生み出されたものだ。

煩雑なポジションチェンジで相手DFに混乱を与える

 ベースとなったのは、インザーギ監督が仕込んだ煩雑なポジションチェンジと、オフ・ザ・ボールの動きだ。味方同士、互いが入れ替わるようにスペースへと流れ、相手のDFラインに混乱を与える。

 個人技とスピードに運動量を備えるメネズを“ニセ9番”として起用する戦術もその一貫であり、彼はCFの位置から降り前後左右に流れて、ボールを触りゲームを作る。

 その味方もまた、マーカーの視野から逃れる動きを細かく入れてポジションを取る。本田も一つの位置に張り付かず、メネズやボナベントゥーラ、また同サイドのポーリやアバーテとの位置関係を気にしながらスペースへと流れる動きを頻繁に繰り返した。

 対面のデ・チェリエをはじめとするパルマのDFは、徐々にポジショニングの判断に迷いを見せ始めた。

 そして25分のアシストの場面では、パルマ守備陣を混乱させた末に理想的なポジショングが取れていた。下がったメネズ、その代わりに前線へと飛び出した本田ともにフリー。そしてメネズがクイックなパスを本田に入れて、スイッチが入った。

 これはカットに出たDFの足に当たるものの、本田が前線でキープ。これに慌ててパルマのDF陣が寄るが、その背後にもボナベントゥーラが流れてフリー。これを見抜いた本田は正確にパスを出し、ゴールを演出した。

タスクを忠実にこなし、体を作った努力の賜物

 そして37分の本田のゴールシーンでは、さらに良い形でそれぞれの動きが噛み合った。メネズは中盤に引き、より前線に近いほうへいた本田はサイドから中へと絞ってデ・チェリエを吊り出す。その吊り出したスペースには、アバーテがポジションを取った。

 そこにまたもメネズが、正確なミドルパスでスイッチを入れる。そして本田は鋭角に走り、DFの視野から逃れてゴール前のスペースに走った。そこにアバーテから、ドンピシャのタイミングでクロスが入り、シュートへと繋がった。

 こういった選手たちの煩雑な動きは、インザーギが監督になって大きく変わった部分の一つだ。昨シーズンは誰が言っても真面目にマークを外す動きをしないバロテッリを筆頭に、足下でボールを貰いたがる選手ばかりだった。本田もその中に巻き込まれていた節もあったが、今は運動量を要するこの動きをしっかりこなしている。

 そしてメネズの空けた前線のスペースへ飛び出し、フィニッシャーとして結果を出した。新たに磨かれつつある本田のゴールセンスは、インザーギの立てた戦術上の産物。そして用意されたタスクを忠実にこなし、そのために必要な体作りも行った彼自身の努力の賜物でもある。

 もっとも本田に言わせれば、コンビプレーが巧く決まった要因は「それぞれ個があって、いい形でたまたま出たもの」らしい。偶発的でなく、コンスタントにこういった形を作れるかどうか。次節のユベントス戦は、改めてその完成度が問われる機会となるだろう。